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身体的魅力と採用の話

「可愛い子は就職に有利」なんて言葉、どこかで聞いたことあるかもしれません。人の見た目は人を判断するときにどれだけ作用するのでしょうか?また、人の魅力は、採用という一人の人生を左右する重要な出来事にどれだけ影響するのでしょうか?

 

今回はこの問いに、明確な答えを示してくれた心理学研究についてシェアしたいと思います。

 

サンノゼ州立大学の産業・組織心理学部のMegumi Hosoda 教授達は、人の身体的魅力は仕事に関する結果にどれくらい影響を与えているのかを検証している全ての先行研究を集計して、包括的に仮説を検証しました。残念ながら論文を通して、「身体的魅力」とはどういう意味で、どのように測定しているのかがはっきりしておらず、解釈が難しいところですが、一応(顔も少なからず含めたであろう)身体全体、という前提で以下の結果を解釈していただけたら、と思います。

 

 

Megumi Hosoda 教授達は、身体的魅力が、人事に関する色々な場面でどのように作用しているのかを調べました。今回は中でも Meryeself の一番の関心、「採用」に至ってはどのように影響しているのかに注目していきたいと思います。

  • 採用側が応募者の中で雇用する「可能性」を考慮する際に、身体的魅力が高いひとほど有利に働くか?
  • 身体的魅力が高い人ほど「実際の」採用決定率は高いか?

これらの問いに対して、この研究の示した答えは、断然、イエス、です。

ちなみに、身体的魅力が最も有利に働く場面はビジネスパートナーとして交渉を組むとき、という結果も報告されています。

 

中でも特筆すべきは、審査される側が男性でも女性でも、また男らしいイメージの仕事でも、女らしいイメージの仕事でも、効果量はほとんど変わらず、男女同等に身体的魅力は有利に働く、という結果です。イケメンは可愛い子と同様に差がなく、採用に有利なわけです。

 

また、これらの結果は、大学生を使って行ったシュミレーション実験と、実際に社会人を対象として行った実験ともに差がありませんでした。社会人を使って研究をした結果に支持されているわけですから、これもなかなか示唆にとんだ結果ではないでしょうか。

 

また身体的魅力が採用における決定的な要因になりうる状況は、

  • 志願者への情報が不足しているとき
  • 志願者同士が似たような経験やスキルを持ち合わせていたとき

と筆者は指摘しています。

 

どのような理由で、身体的魅力の高い人が有利なのかという説明については、さまざまな理論が存在しますが、中でもこの研究で支持されたのは、「魅力的なひとは「良い人」だという暗黙のステレオタイプが有利に働くから」だとされています。

 

採用側は、このような科学的知見に対して、どのように受け止めたらよいのでしょうか。

 

もし採用側が「身体的魅力の高い人」を採用すると会社として利益になるという、論理的な理由を持ち合わせていれば、大丈夫かもしれません。アバクロでそれなりにいい体の人を採用するのは、明確な理由があってこそではないでしょうか。営業だったら、見た目の良い人を雇ったほうが良いと思うのも納得です。(営業成績と身体的魅力には正の相関関係があるというデータも報告されています。)

 

ただし、このような人間のバイアスを理解せず、意図せずに業務内容とは関係ないかもしれない部分で、採用の判断をしてしまっているとしたら、それは採用側が、適切な人材を逃しているという意味で、結局損をしていることになりそうです。

 

また、これらの研究はアメリカ人を中心に行われたものなので、必ずしも同じことが日本の企業に当てはまるとも限りません。

 

こういう点でもまた、採用側の哲学や方針を深く考察し、それを踏まえた上でどのような人材を求めるのかをじっくる見つめなおすことが、大切になってくるのではないでしょうか。