Meryeselfミライセルフ

というキャリアアプリを運営している会社の仲間で書いているブログです。
AppStoreでのダウンロードはこちら
GooglePlayでのダウンロードはこちら

Facebookと性格診断の話

今回はSUUが投稿します。

 

前回、ソーシャルネットワークと採用の話をしましたが、今回はもう少し踏み込んで、ではSNSの情報からその人の性格がどれだけわかるのかについての実証研究をシェアしたいと思います。

ノーザンイリノイ大学のKluemper教授らのチームが、Facebookを使ってSNSを使った性格診断が果たして個人の性格をどれだけ予測できるのかについて検証しました。

 

まず、調査に参加した大学生は、Big Five と呼ばれる性格を計るため、性格診断書に答えました。

Big Five とは、心理学で一番研究されているアプローチのひとつで、性格とは次の5つに分類されるといわれています。(ミライセルフのテストにも使われています。)

 

Openness to experience(経験への開放性)- 知的好奇心などの程度

Conscientiousness(誠実性)- 自己統制力やまじめさの程度

Extraversion(外向性)ー社交性や活動性の程度

Agreeableness(協調性)ー 利他性や協調性の程度

Neuroticism(神経症傾向)ー ストレスに対する敏感さ

 

*わかり易い覚え方:OCEAN(オーシャン)

 

そして、研究の目的をまったく知らされていない三人の評価者(人事、採用の経験のある社会人2人と、大学院生一人)が、調査に参加した大学生のFacebookページを一人につきたった5分だけ観察し、参加した大学生の記入したまったく同じ性格診断書を使い、それぞれの大学生に対しての性格を評価しました。

 

この研究の目的は、見ず知らずの人がたった5分のFacebookを通して見た印象だけの性格診断が、本人自ら行った性格診断とどれだけ一致しているかをしらべるところにあります。

もし、Facebookでの振舞いが人の性格をある程度正確にあらわしているのだとすれば、評価者と当事者の性格診断の間には、正の相関関係が存在するはずです。この場合の相関関係とは、評価者と当事者の性格診断が、どの程度一致しているのか、を表わしています。

 

当事者の性格診断と評価者の性格診断の相関関係の結果をそれぞれの分類で見てみると、

経験への開放性(+0.42)

誠実性 (+0.30)

外向性(+0.44)

協調性(+0.40)

神経症傾向(+0.23)

 

とすべてのドメインにおいて、中くらいの有意な正の相関が得られました。相関関係を少し説明すると、1.00又は-1.00が上限で、絶対値が1.00に近づけば近づくほど、両者の関係性は高い、ということを意味します。

 

絶対値1.00の完璧な相関関係とは程遠いものの、社会科学の中ではこれくらいの相関関係はそこそこ大きいとされています。

 

また、たった5分の観察だけですべての分類において有意な相関関係が存在していることを考えると、Facebookを使った性格診断は、結構あなどれないかもよ、と筆者たちは結論づけています。

 

なかでも「外向性」と「経験への開放性」の相関が5分類の中で一番強かったことを考えると、「外交的で開放性のある人ほどFacebookでは性格が現れやすく、評価しやすい」といえるのではないでしょうか。

また、筆者たちは別のグループを使って同じような調査をしたところ、ほとんど同じような結果が得られました。

 

しかし、この結果を元に、SNSを性格評価にすぐ使ってしまうには、注意点が必要です。筆者たちは以下の留意点をあげています。

  • インタビューなどでは聞いてはいけない年齢、人種、宗教、ジェンダー、配偶者などのプライバシーに関わる情報もFacebookでは入手できてしまうので、公平性が危ぶまれる。
  • 採用担当者がSNSを基準にしているとユーザー側が知った場合、ユーザーが企業に対してネガティブなイメージを持たれるかもしれない。

 

これらの結果を元に、私なりの結論はこうです。

 

Facebookを通した性格診断は、完璧とは程遠いものの、ある程度の全体像を把握する点では、それなりの証拠が得られました。しかし、プライバシーの問題などもあるので、Facebookの使用には注意が必要です。また、今はLinkedInなどの就職に特化したSNSが存在するので、それらに比べて、Facebookがどれほど有用であるか正当な理由がない限り、Facebookを採用の一環として使用するには注意が必要かもしれないと考えています。